手取り少なすぎ!いったい何が引かれているの?

手取り少なすぎ!いったい何が引かれているの?

給与明細を見て「手取りが少ない!」と感じたことはありませんか?額面給与(総支給額)からさまざまな項目が引かれて、手取り額が減っているのです。今回は、給与から引かれる税金や保険料について詳しく解説します。

 

1. 所得税

所得税とは?

所得税は、個人の所得に対して課される税金です。給与所得者の場合、給与から自動的に天引きされる「源泉徴収」という仕組みで納付されます。

所得税の計算方法

所得税は、年間の課税所得に基づいて計算されます。課税所得は、給与所得控除や各種控除を差し引いた後の金額です。所得税の税率は累進課税制度に基づいており、所得が多いほど高い税率が適用されます。具体的には、以下のようなステップで計算されます:

  1. 総所得金額の計算:給与の総額から社会保険料を差し引きます。
  2. 所得控除の適用:基礎控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除などの各種控除を適用し、課税所得を算出します。
  3. 税率の適用:課税所得に対して、累進課税の税率(5%〜45%)を適用して所得税額を計算します。

 

2. 住民税

住民税とは?

住民税は、地方自治体に納める税金で、都道府県民税と市町村民税に分かれます。住民税は、前年の所得に基づいて計算され、翌年の6月から翌々年の5月までの12ヶ月間、給与から天引きされます。

住民税の計算方法

住民税の計算は、前年の所得に対する10%が基本です(都道府県民税4%、市町村民税6%)。さらに、均等割として定額の負担があります。住民税の具体的な計算手順は以下の通りです:

  1. 前年の総所得金額の確認:前年の所得から社会保険料を差し引いた後の金額を確認します。
  2. 控除の適用:基礎控除や扶養控除、社会保険料控除などの各種控除を適用します。
  3. 税率の適用:控除後の所得に対して、住民税の税率を適用し、住民税額を計算します。
  4. 均等割の追加:定額の均等割(市町村民税と都道府県民税の合計で約5000円前後)を加算します。

 

3. 健康保険料

健康保険料とは?

健康保険料は、病気やけがをした際に医療費の一部を負担してもらうための保険料です。会社員の場合、会社が加入している健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入します。

健康保険料の計算方法

健康保険料は、標準報酬月額に基づいて計算され、会社と従業員が折半して支払います。標準報酬月額は、給与や賞与などの報酬を基に決定されます。具体的な計算手順は以下の通りです:

  1. 標準報酬月額の決定:給与や賞与の金額から標準報酬月額を決定します。標準報酬月額は、一定の区分に分けられた報酬額によって決定されます。
  2. 保険料率の適用:標準報酬月額に対して、健康保険の保険料率(約10%)を適用し、保険料額を計算します。
  3. 会社と従業員の負担割合:計算された保険料を会社と従業員で折半し、それぞれが負担する金額を決定します。

 

4. 厚生年金保険料

厚生年金保険料とは?

厚生年金保険料は、老後の年金を受け取るための保険料です。会社員や公務員が対象となり、国民年金に上乗せして支給される「厚生年金」に加入します。

厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料も、標準報酬月額に基づいて計算され、会社と従業員が折半して支払います。具体的な計算手順は以下の通りです:

  1. 標準報酬月額の決定:給与や賞与の金額から標準報酬月額を決定します。
  2. 保険料率の適用:標準報酬月額に対して、厚生年金の保険料率(約18%)を適用し、保険料額を計算します。
  3. 会社と従業員の負担割合:計算された保険料を会社と従業員で折半し、それぞれが負担する金額を決定します。

 

5. 雇用保険料

雇用保険料とは?

雇用保険料は、失業した場合や育児・介護休業を取得する場合に給付を受けるための保険料です。雇用されているすべての労働者が対象となります。

雇用保険料の計算方法

雇用保険料は、給与の一定割合(0.3%から0.4%)が天引きされます。具体的な料率は、業種や雇用形態によって異なりますが、比較的少額です。計算手順は以下の通りです:

  1. 給与額の確認:月々の給与額を確認します。
  2. 保険料率の適用:給与額に対して、雇用保険の料率を適用し、保険料額を計算します。
  3. 天引き金額の決定:計算された保険料額を給与から天引きします。

 

6. 介護保険料

介護保険料とは?

介護保険料は、高齢者の介護サービスを受けるための保険料です。40歳以上の全ての国民が対象となり、給与から天引きされます。

介護保険料の計算方法

介護保険料は、標準報酬月額に基づいて計算され、会社と従業員が折半して支払います。40歳以上になると、健康保険料と一緒に天引きされます。具体的な計算手順は以下の通りです:

  1. 標準報酬月額の決定:給与や賞与の金額から標準報酬月額を決定します。
  2. 保険料率の適用:標準報酬月額に対して、介護保険の保険料率を適用し、保険料額を計算します。
  3. 会社と従業員の負担割合:計算された保険料を会社と従業員で折半し、それぞれが負担する金額を決定します。

 

7. 労災保険料

労災保険料とは?

労災保険料は、仕事中のけがや病気、通勤中の事故などに対する補償を受けるための保険料です。労働者が対象となりますが、保険料は全額事業主が負担します。

労災保険料の計算方法

労災保険料は、給与から天引きされることはありませんが、事業主が支払うため、会社の福利厚生費として含まれています。計算手順は以下の通りです:

  1. 給与総額の確認:事業所全体の給与総額を確認します。
  2. 業種ごとの保険料率の適用:事業所の業種に応じた保険料率を適用し、保険料額を計算します。
  3. 事業主の負担:計算された保険料を事業主が全額負担し、支払います。

 

8. その他の控除

厚生年金基金や企業年金

一部の企業では、厚生年金基金や企業年金に加入しています。これらの保険料も給与から天引きされますが、将来的な年金受給額の上乗せとなるため、長期的に見るとメリットがあります。

生命保険料や積立金

企業によっては、社員が任意で加入する生命保険や積立金の制度があります。これらの保険料や積立金も給与から天引きされる場合があります。

手取りを増やすための対策

給与明細を見て手取り額が少ないと感じたら、以下のような対策を検討してみましょう。

節税対策

各種控除を活用

  • 生命保険料控除、医療費控除、寄付金控除など、所得税や住民税の控除を活用することで、課税所得を減らし、手取り額を増やすことができます。

ふるさと納税の利用

  • ふるさと納税を利用すると、寄付金が住民税や所得税から控除されるため、結果的に手取り額を増やすことができます。

保険料の見直し

不要な保険の解約

  • 企業で任意加入している保険について、必要性を再検討しましょう。不要な保険を解約することで、保険料の支払いを減らすことができます。

保険のプラン変更

  • 現在加入している保険のプランを見直し、よりコストパフォーマンスの良いプランに変更することで、保険料を削減できます。

給与の増額交渉

昇給や昇進の相談

  • 定期的に上司と面談を行い、自身の業績や貢献度をアピールすることで、昇給や昇進のチャンスを増やしましょう。

副業や資格取得の検討

  • 副業を始めることで、収入源を増やすことができます。また、資格を取得してスキルアップすることで、給与の増額交渉に有利になります。

 

まとめ

給与明細を見て手取りが少ないと感じる原因は、所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料など、さまざまな項目が引かれているためです。これらの税金や保険料について理解し、適切な対策を講じることで、手取り額を増やすことができます。節税対策や保険料の見直し、給与の増額交渉などを通じて、少しでも手取りを増やし、経済的な余裕を持ちましょう。

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