“飛ばないボール”の影響? 2024年プロ野球本塁打王は両リーグ20本台か?

2024年もオールスターゲームが終了し、前半戦が終了。明日(7月26日)から後半戦に突入します。後半戦といっても、プロ野球では例年オールスターを基準として前後半にわけて言い表すことが多いですが、実際には「前半戦」で多くの球団が90試合前後(シーズンで143試合)を消化しており、後半戦は50数試合をおこなうことになります。

そのようななかで、異変が起きているのは打撃部門。とくにホームラン数の少なさは特筆するものがあり、今年は開幕直後から「飛ばなくなった」「重い感じがして数メートルは飛ばなくなった感覚」などと、プロ野球選手やその指導者からのコメントを目にする機会が増えました。

では、実際に前半戦のホームラン数見てみましょう。まずはセリーグです。
・村上宗隆選手(ヤクルト)17本
・岡本和真選手(巨人)16本
・オースティン選手(DeNA)15本
・牧選手(DeNA)14本
・オスナ選手(ヤクルト)13本
と、仮に後半に同じ試合数が残っていたとしてもひとつの目安である「30本塁打以上」を打てるペースなのは、3位のオースティン選手までの3人です。

これを現在の出場割合で同じペースでホームランを打ったとすると、実際の残り試合数にでは
・村上宗隆選手(ヤクルト)28本
・岡本和真選手(巨人)26本
・オースティン選手(DeNA)24本
・牧選手(DeNA)23本
・オスナ選手(ヤクルト)21本
※ホームラン数は小数点1位を四捨五入して計算。

となり、30本塁打以上の打者は誕生しないかもしれません。

同様にパリーグを見てみます。
・山川穂高選手(ソフトバンク)14本
・近藤健介選手(ソフトバンク)13本
・万波中正選手(日本ハム)13本
・ソト選手(ロッテ)12本
・ポランコ選手(ロッテ)12本

と、やはり寂しい印象で、パリーグでは現在2桁本塁打を記録している選手もこの5名のみです。同じく残り試合数で計算すると

・山川穂高選手(ソフトバンク)23本
・近藤健介選手(ソフトバンク)21本
・万波中正選手(日本ハム)21本
・ソト選手(ロッテ)19本
・ポランコ選手(ロッテ)19本
となり、3位までしか20本塁打以上を打てないペースです。

このままいくと両リーグのホームラン王は20本代になるかもしれません。過去と比較すると、セリーグでは「飛ばないボール」で揺れた2011年、2012年でさえバレンティン選手(当時ヤクルト)が31本塁打を記録しています。

30本以下の本塁打王となると、1961年の「ミスター」こと長嶋茂雄選手(巨人)の28本塁打まで遡ってしまうのです。

ちなみにパリーグでは、昨年にポランコ選手が(ロッテ)26本塁打で本塁打王をとっていますが、その前となるとやはり飛ばないボール問題のあった2012年に中村剛也選手(西武)が27本塁打を記録しています。

両リーグ同時となると、ミスターのライバル野村克也選手(当時、南海)が同じ1961年に29本塁打を記録していました。このような歴史を紐解くとふたり同時に名前があがるところにはスター性を感じずにはいられません。

ではこの「飛ばない」原因はどこにあるのでしょうか。ボールについて今のところ公式な見解はありませんが、投手の技術に関しては確実に飛躍しているといえるでしょう。

たとえばパリーグの方が先に「飛ばない」記録になっているのは、以前から「パリーグの方が投手力が高い」「球速が速い」と言われていたことが原因のひとつに考えられます。実際に、以前「サンデーモーニング」に出演した落合博満さんは「ボールのせいではない。投手力に打者が追いついていない」という内容を解説されています。今年はもしかすると、投手力の差がセパともに少なくなってきたのかもしれません。

痺れる投手戦や巧みな守備を堪能するのも野球の楽しみのひとつです。ただ、オールスターでは2戦ともに打線が爆発し、2試合とも6本の本塁打が舞い大いに盛り上がりました。やはり野球の華といえば豪快な本塁打であることは間違いないでしょう。

海の向こうで毎日のように魅了させてくれている大谷選手のように、日本プロ野球が盛り上がってくれることを切に願います。

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