“飛ばないバット”の影響如実に? 甲子園大会ホームラン激減の現状

2024年の甲子園大会も、早いもので残りを決勝戦(関東第一対京都国際/8月23日10時開始予定)のみとなりました。今大会もダークホースと呼ばれる高校の躍進や、感動の結末など、数多くの物語を生んでいますが、その一方でホームラン数の激減がささやかれています。

 

先述のとおり、8月21日までに準決勝までを終えた2024年甲子園大会の累計ホームラン数は計7本です。これは、金属バットが採用された1974年以降、最少を記録する見込みのペースです。これまでの最小ホームラン数は、まさしく金属バットが採用された1974年の11本で、決勝戦で4本塁打以上を打たなければ最少記録を更新することになります。

 

この背景には、今年の春大会から採用された「低反発バット」の影響と考えられています。「低反発バット」への変更は、投手の怪我のリスク軽減や木製バットを使用する国際大会での順応性を高めるために、より木製に近い仕様に変えた経緯があります。各地方大会やこの甲子園大会を見ても、木製バットを使用する選手は如実に増え、なかには「木製の方が打感が良い」という選手もいるなど、変更した経緯を踏まえれば、その効果は一定程度あるのではないでしょうか。

 

ただし長打が減った影響もあり、ロースコアの試合は増え、投手の完投数は増えたと言われており、実際に観戦した感覚でも同様のように感じます。機動力野球で有名な健大高崎高校が「低反発バット元年」で過去最少の3ホームランに止まった「春の選抜大会」で初優勝を飾ったのは、新しい時代を表した良い例と考えても不思議はないでしょう。

 

とはいえ、高校球児の順応性も高く、春の大会に比べて鋭い打球は増え、外野フライが伸びないとされていた打球も伸びるようになってきた印象もあります。もちろん、春先と比べて当然体は大きくなり打球も強くなりますが、今春にとある中堅クラスの高校野球監督に話しを聞いた際には「強豪高校は必ず速やかに対応してくる」とし、体作りをはじめ芯で捉える打撃と守備力強化を課題にあげていました。こういった各学校の取り組みが実を結びつつある面もあるでしょう。

 

今甲子園の決勝は、W左腕が話題を集める京都国際の中崎、西村両選手と、4登板でいまだ防御率を誇る関東第一のエース坂井選手と、両チームともに投手力に定評があり、ホームラン4本は難しいかもしれません。

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