“飛ばないボール”の再来? 2024年プロ野球の投高打低に懸念の声

「WBC2023 メモリアルフォトブック (BIGMANスペシャル)」  世界文化社

2024年も早いものでプロ野球が開幕して1か月以上が経過し、既にリーグ戦は各球団とひととおり対戦を終えました。昨年は3月にWBCでの日本の活躍や大谷翔平選手の活躍などに沸き、今年も3月には同じく大谷選手の所属するロサンゼルス・ドジャースの韓国での開幕戦から話題になったように、投打ともに異次元の活躍を見せる大谷選手の一挙手一投足に目が奪われます。

そんななか、日本のプロ野球はというと、移籍したセパ両リーグともに混戦気味で、どちらかというとロースコアな試合展開が目立ちます。5月1日の試合終了時点で、試合消化数の多いチームで29試合が終了と、年間試合数(143試合)の約5分の1が終わりました。現時点で本塁打6本以上打ち、年間30本以上のペースで打っている(ここでは全チームが同じ試合数だと仮定)選手は
・細川成也選手(中日)7本
・オアナ選手(ヤクルト)6本
・村上宗隆選手(ヤクルト)6本
・山川穂高選手(ソフトバンク)6本
の4人と寂しい結果となっています。また、上記に名前をあげた選手のうちヤクルト所属のふたりは、本塁打が出やすいことで知られる神宮球場をホームとしています。

毎日のように海をわたったMLB選手の豪快な活躍が耳に入ってくる現代に、日本のこの結果を受け、「投高打低」「また飛ばないボールになったのか?」と野球ファンの間で話題になっているようです。

本当に打撃成績は低くなっているのか、打率に目を向けてみましょう。本塁打と同じ時点での3割打者はセリーグで6人、パリーグで4人いますが、そのうちの7人は3割1部未満で、その日の試合結果によっては3割を切ってしまうかもしれません。

この問題の理由のひとつには、度々投手のレベルアップと多くのスポーツ解説者が話しをしています。実際に動作解析技術の向上などにより、投手の平均球速は上がり、一昔前までは考えられなかった160キロ台の投手が続々と誕生しています。

ただ、それでも「2011年の飛ばないボールの再来なのでは」と言われる理由が、年間本塁打数の減少です。近年の本塁打の状況を見てみましょう。
・2019年 1688本
・2020年 1288本
・2021年 1449本
・2022年 1304本
・2023年 1250本
(数字は年間のセパ両リーグの合計本塁打数。2020年は新型コロナウィルスの影響により、120試合制)

このように、年々本塁打数は減少し、昨年は短縮開催だった2020年よりも本塁打が出なかったのです。

実際に中日ドラゴンズの立浪監督は、何度も「飛ばない」旨の発言をしており、現場でも話題になっているようです。4月30日に日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長は、5月に12球団の選手会役員に聞き取り調査をするとしています。

真偽のほどは定かではありませんし、痺れる投手戦や巧みな守備を堪能するのも野球の楽しみのひとつです。ただ、野球の華といえば豪快な本塁打であることは間違いないでしょう。GWや夏休みに、プロ野球を夢見る子供達に豪快な一発を魅せてくれることに期待しつつ、この問題の解決を見守りましょう。海の向こうで毎日のように魅了させてくれている大谷選手のように、日本プロ野球が盛り上がってくれることを切に願います。





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